第125章

「包帯、巻いたほうがいいか?」

桐谷憂は、腫れ物にでも触れるような手つきで空見灯の傷を手当てしていた。

手の甲の傷はそれほど深くなく、血はすぐに止まった。

ようやく落ち着きを取り戻した空見灯は、少し照れくさそうに手を引っ込める。

「簡単な消毒だけで大丈夫です。これくらいの怪我なら、包帯を巻かないほうがかえって早く治りますから」

さっきの彼女は、確かに取り乱していた。

家族に対してはもう感覚が麻痺し、何を言われても心は動かないと思っていた。

けれど、病に伏せる母と、その口から放たれた言葉を前にして、空見灯は表面上の平穏を保つことができなかったのだ。

彼女は時間を確認した。

「...

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