第131章

署を出た瞬間、空見灯は憑き物が落ちたような安堵を覚えた。

空見家の親子が署名することは分かっていた。彼らは心底怯えていたのだ。灯が訴訟を続けること、そして何より、巨大財閥である桐谷グループに睨まれることを恐れて。

高橋優花が腕時計に目を落とす。

「夜食でもどう? 今後の対策も兼ねて」

本来なら、彼女は深入りするタイプではない。

だが、今日のあの親子の言動と、今にも壊れそうな灯の姿を見て、放っておけなくなったのだ。

灯は微笑んで頷いた。

「ええ、いいですね。高橋弁護士、私に奢らせてください。お口に合うか分かりませんが、いいお店を知っているんです」

「ええ、もちろん」高橋は頷いた...

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