第259章

「違う、誤解よ。説明させて!」

 万年氷河のように冷徹だった赤城凛の表情に、ついに焦燥の色が浮かんだ。

「桐谷社長、実験は進展しているんです。資金繰りさえ厳しくなければ、とっくに特許だって取れていました。零崎教授のチームだって追い抜けるはずなんです」

「ありえません」

 花巻柚希が一通の書類を取り出した。

「これは以前、あなたがデータの捏造と巨額の研究費着服を企てたとして、海外の大学から訴えられた際の起訴状です。ご実家が賠償金を支払ったことで、大学側は告訴を取り下げたようですが」

 すぐさま近くにいた者がその書類を手に取った。

「本当だ、起訴状だ……なんてことだ」

「指導教官...

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