第九十二章

山荘を後にした空見灯は、そこでようやく安堵の息を漏らした。

彼女は会社へは戻らず、神崎曉人の所有するペントハウスへと向かった。そこには鏡京介がいるはずだ。

到着するや否や、鏡京介は彼女の姿を認めて猛然と抱きついてきた。鼻水と涙で、空見灯の服がたちまち汚れていく。

「灯さん、あんまりだよ……なんであんなクズ男と付き合ってたのさ! 金も体も騙し取られた上に、刑務所送りにしようとしてるんだよ!?」

「僕たちは戦わなきゃいけない。灯さん、何があっても僕は味方だからね。ネット民にどれだけ叩かれようと構わない、絶対に灯さんの汚名を雪いでみせる!」

「とりあえず、その鼻水を拭いてくれない?」

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