第九十三章

空見灯の条件は至ってシンプルだった。もし楽曲が盗作であれば、契約金の十倍を賠償する。

だが、逆にその曲が正真正銘彼女のオリジナル作品であると証明された暁には、楽曲から生じるすべての収益を空見灯のものとする、というものだ。

相手はほんの一瞬躊躇しただけで、すぐに同意した。

結局のところ、誰も空見灯が曲を書けるなどとは信じていないのだ。もし彼女に作曲の才能があるなら、なぜ篠原流輝だけを有名にしたのか? それはあまりにも論理的ではなかった。

契約の問題が片付き、空見灯は安堵の息を吐いた。

「灯さん、向こうはなんて?」

彼女が出てくるのを見て、鏡京介が慌てて駆け寄ってくる。

空見灯は笑...

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