第117章

 碧井奏の憤りに満ちた表情を見ても、碧井天川の表情は淡々としたままだった。

「ビジネスの世界は、お前が想像しているよりもずっと残酷なんだ。以前、義姉さんがお前を入社させようとした時、俺が反対したのもそれが理由だ。あの頃のお前はまだ子供だった。海千山千の古狸どもを相手にできるはずがないだろう」

 碧井奏は眉をひそめた。先ほどの出来事への不快感が、会社に入ることへの拒絶反応をさらに強めている。

「じゃあ、どうして今夜は俺を呼んだんですか?」

「お前ももう大学二年だ。子供じゃない。経営に携わる前に、世間というものを知っておく必要がある。いざ会社を継ぐ段になって、他人にいいように操られるわけ...

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