第175章

疑いが晴れたのを見て、碧井黎人は安堵の長い溜息を吐いた。

 危うく、とんだ濡れ衣を着せられるところだった。

 長年、彼は公僕として国民のために尽くしてきた。やましい考えなど、一度たりとも抱いたことはない。

 彼は自分の名声を重んじているし、何より長年苦楽を共にしてきた妻を、外の女の色香に惑わされて裏切るなどあり得ないことだ。

 結婚して数十年、夫婦の間には幾度となく衝突があった。だが、その摩擦を乗り越えるたびに、二人の絆は深まってきたのだ。彼は何人たりとも、二人の絆を壊させはしない。

 碧井黎人は柊木汐里の前に歩み寄り、その手を取ると、揺るぎない口調で言った。

「外で俺がどんな地...

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