第211章

 男は男のことを一番よく分かっているものだ。ましてや、先ほどの彼の本性は、彼と藍原華月の目にはっきりと焼き付いていたのだから。

「ふん、彼女もいないくせに、そんなこと言う資格ないでしょ。それに、前の彼女たちと別れたのにも、何か理由があったかもしれないじゃない!」

 風祭鈴奈は唇を尖らせた。二人が兄を庇うために適当なことを言っているだけに思えたのだ。

 彼らが兄との間に溝ができないよう気遣っているのは分かっていた。だが、最近の兄の過干渉は目に余る。二十歳も過ぎて、恋愛する権利すらないなんて御免だった。

 碧井奏の言葉を信じようとしない鈴奈を見て、藍原華月が助け舟を出した。

「碧井奏の...

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