第213章

「社長、まさか私……クビになるんでしょうか」

 西田秘書は驚愕と不安の入り混じった表情で、執務机の向こうにいる碧井天川を見つめた。

「今日一日、仕事を一つも仰らなかったので……てっきり、もう用済みなのかと」

 普段、社長秘書としての業務に忙殺されている彼女にとって、空白の一日は恐怖でしかなかった。朝から生きた心地がせず、ついにリストラの二文字が脳裏をよぎり、居ても立ってもいられなくなったのだ。

 西田の悲痛な訴えを聞き、碧井天川は呆れたように彼女を一瞥した。

「仕事を振らなかっただけで、解雇だと?」

 自分はそこまで短絡的で理不尽な上司ではないつもりだ。

 それに、彼女の仕事ぶ...

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