第6章

 藍原華月は目元を赤くし、瞳に涙を溜めていた。溢れんばかりの屈辱が、彼女を飲み込もうとしていた。

 服の裾をきつく握りしめ、肩を震わせる彼女を見て、碧井天川は眉をひそめた。心の底に、微かな後悔が走る。

 だが、彼女が自分を連れ戻すために、父である碧井老人を使って圧力をかけてきたことを思い出すと、その悔恨は瞬く間に嫌悪へと塗り替えられた。

 節くれだった指が藍原華月の顎を掬い上げ、冷徹な声が響く。

「次があったら、こんな簡単には済まさないぞ!」

 藍原華月の瞳には強情さが宿っていた。

「どういう意味?」

「藍原家が最近、政府のプロジェクトに参加したがっていると聞いたが。もしその期...

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