第89章

小林は社長の言葉に頷いた。

 今の社長は、何事においても奥様が最優先なのだ。

 放課後、藍原華月は風祭鈴奈と共に、雪村詩織から送られてきた位置情報の場所へと向かった。広々とした個室に入ると、すでにクラスメイトたちが集まっており、賑やかな声が響いている。

 大勢の人がいるのを見て、華月はほっと胸を撫で下ろした。

 二人の到着に気づいた雪村詩織は、すぐに駆け寄ってくると、わざとらしいほどの熱烈な歓迎ぶりを見せた。

「華月ちゃん、来てくれたのね。特等席を取っておいたのよ。さあ、こっちへ」

 その過剰な愛想の良さに、華月は居心地の悪さを覚えた。詩織の手をそっと外し、案内に従って席に着く。...

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