第98章

藍原華月にそう言われてしまっては、碧井天川が断れるはずもなかった。

 甘えるような彼女の姿に、彼の眼底からは今にも愛しさが溢れ出しそうだ。

「ああ、君の言う通りにしよう」

 彼が頷くのを見て、藍原華月は興奮気味に爪先立ちすると、素早く彼の頬に口づけを落とした。

 頬に残る柔らかい感触に、碧井天川の機嫌は目に見えて良くなっていく。昨夜の殺伐とした空気も、彼女のキスひとつで霧散してしまったようだ。

「華月よ、人前だぞ。少しは慎みというものを知らんのか」

 碧井家の祖父が、笑みを浮かべながら藍原華月をからかう。とはいえ、息子夫婦の仲が深まっていくのを見るのは、彼にとっても喜ばしいことだ...

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