第13章

九条遥は鼻がツンとし、目が潤んだ。しばらく感情を抑えてからようやく落ち着きを取り戻し、「そんなことないよ。私と彼は、もともと合わなかったんだ。あのことがなくても別れていたよ。お母さん、あまり考えすぎないで」と言った。

豊山晴子はうなずいたが、涙は止まらなかった。彼女の娘はこの数年間、本当に苦労してきたのだ。

「私の娘は、美しくて才能もあるのに、どうしてこんな状況に陥ってしまったのかしら?」

それは二ノ宮社長を捨てた罰だろう。

千葉承也の言葉が九条遥の耳に蘇った。確かに彼の言う通りだった。

「もしかしたら、六年前に嘘をついた罰かもしれない。私の一生はもううまくいかない運命なんだ」

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