第17章

一方、江川新は包厢の中で不安な気持ちを抱えていた。先ほど電話を終えた後、二ノ宮涼介から九条遥のことにはもう関わるなと言われたが、心の中ではどうしても気になっていた。

実際、もし二ノ宮涼介がいなければ、九条遥という後輩と良い関係を築けたかもしれないと江川新は思っていた。

そのことを考えると、江川新の不安はますます募り、頻繁に携帯電話を確認していた。この時、羽川初美から電話がかかってくれば、すぐにでも動き出すつもりだった。

しかし、待てども待てども期待していた電話は来ず、代わりに妹からの不満の声が聞こえてきた。

「お兄ちゃん、私の歓迎会に参加するのがそんなに嫌なの?顔が城壁みたいに固くて...

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