第24章

九条遥がそのお年寄りを契約の場所まで案内した直後、二ノ宮涼介からの電話がかかってきた。二人の契約を思い出し、九条遥は一刻の遅れも許されないと感じた。

「すみません、ちょっと電話に出てきます。すぐ戻りますので」

「九条遥、今すぐ私のオフィスに上がってこい。浦崎が営業部の外で待っている」

九条遥は躊躇した。「でも、お客様がまだ……」

「私たちの契約を忘れたのか?今すぐ上がってこい」

ちょうどそのとき、浦崎正が九条遥を見つけた。「九条さん、ご一緒にどうぞ」

状況を察知した高橋昭二はすぐに近づいてきた。「浦崎秘書、九条遥はお連れください。このお客様のことは私が責任を持ちますから」

……...

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