第27章

二ノ宮涼介は全ての仕事を終え、ふと九条遥のことを思い出した。

「浦崎正、九条遥を呼んでくれ」

「かしこまりました、社長」

九条遥はここ数日大人しくしている。何か褒美をあげるべきだろう。後で彼女の好物を食べに連れて行こう。

「社長……」

浦崎正のもじもじした様子を見て、二ノ宮涼介は何か良くないことが起きていると直感した。

「九条さんは外出したまま、職場に戻っていません。現在、所在が不明です」

二ノ宮涼介は眉をひそめた。「不明だと?不明なら探せ。お前たちは何のために雇っている?」

浦崎正はおずおずとオフィスを後にし、すぐに部下たちに捜索を命じた。だが、彼が笑顔でいられたのもつかの...

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