第31章

料理を温め直した後、九条遥と二ノ宮涼介はテーブルを挟んで向かい合って座り、二ノ宮涼介は静かに食事をしていた。

「鈴木健のあの件、あなたがやったの?長い間考えたんだけど、江川新にはそんなことをする余裕も時間もないはず。最近の不動産プロジェクトが始まったばかりで、彼の注意はそっちに向いているから」

「それに鈴木健は元々技術部門の人で、後から不動産販売部門に異動したでしょう。もしかして彼はずっと前から会社の機密を売っていたけど、証拠がなかったのかな。私が不動産部門に入ったことで証拠が揃って、それで解雇されたんじゃないかと思うんだけど」

二ノ宮涼介は箸を置き、眉を上げて九条遥を見つめた。「なか...

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