第32章

翌朝。

二ノ宮涼介は隣で眠る九条遥を見つめ、思わず口元に微笑みを浮かべた。

突然、彼の私用携帯に着信があった。見知らぬ番号からだ。

通常この時間なら羽川陸と江川新は夜の遊びを終えたばかりで、電話をかけてくることはないはずだ。二人に何か起きたのだろうか。

そう思いながら、二ノ宮涼介は電話に出た。

「誰だ？」

二ノ宮涼介の口調はよくなかったが、相手はまるで諦める気がないかのように、しばらく沈黙が続いた。二ノ宮涼介の忍耐が尽きかけたその時、幼い声が聞こえてきた。

「おじさん、おはよう！やっと携帯を借りられて電話できたんだよ」

二ノ宮涼介は前回会ったあの子が本当に自分の番号を覚えてい...