第35章

九条遥が会社内を歩いていると、突然四方八方から視線を感じた。

部署内で彼女と親しくしていた女性が、すぐに小走りで九条遥の側に来て、人のいない場所へと連れて行った。

「盗撮されたの、知ってる?」

九条遥は眉をひそめたが、どんな写真かはおおよそ想像がついた。会社のlineグループを開くと、案の定、先ほどの客との艶めかしい写真が投稿されていた。

グループ内では罵声と茶化す声が飛び交っていた。写真を投稿した人物は匿名で、しかもサブアカウントを使った匿名投稿のようで、調査しても投稿者を特定することはできないだろう。

江川夕美はグループ内のメッセージを見て非常に満足していた。これで九条遥が台無...

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