第36章

浦崎正はサンプルルームの監視カメラ映像と安藤景程の苦情書を持って社長室を訪れた。

「二ノ宮様、こちらがサンプルルームの24時間監視映像です。映像には確かに安藤景程が先に九条遥さんにセクハラ行為を行った様子が映っています。九条遥さんは会社の評判を考慮して何度も制止しようとしましたが、安藤景程さんはそれでも止めず、やむを得ず……安藤景程さんを背負い投げしたというわけです」

二ノ宮涼介は心から疑問を呈した。「九条遥？背負い投げ？」

浦崎正は自分の社長のこの困惑した表情を見て、ようやく実感が湧いてきた。九条遥さんはいつも穏やかで優しそうに見えるのに、まさかあんな大きな力を隠し持っていたとは。

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