第43章

九条遥は口角を微かに引きつらせた。

彼女は唇を曲げ、作り笑いを浮かべた。「羽川さんは誘ってるんですか?」

「強引だろうが何だろうが、文句あるのか?訴えるつもりか?」

「羽川さんに勝てるわけないです」

そんな退屈なことで訴えたりしない、一曲のダンスごときで。

羽川陸は毒舌だった。「そのくらいの自覚があれば結構」

九条遥はちらりと二ノ宮涼介と羽川初美の方を見やり、何かを見抜いたかのように唇を曲げた。「羽川初美さんが他の人と踊ってるのを見て、羽川さんは嫉妬してるんですか?」

「親友と元彼が踊ってるのを見て、違和感を感じないのか?」

「私が元彼の親友や親友の夫と踊るのも、十分違和感あ...

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