第47章

九条遥が十歳の時、豊山晴子は九条雪子に誤って階段から突き落とされ、植物状態になっていた。

二ノ宮涼介が九条遥と恋愛関係にあった頃、彼は何度か遥と一緒に豊山晴子を見舞っていた。

その当時、豊山晴子はまだ意識を取り戻しておらず、この療養院にも入院していなかった。

実はこれが豊山晴子にとって、初めて二ノ宮涼介本人と対面する機会だった。

彼女は電動車椅子を押しながら近づき、微笑んだ。「本当に涼介ですね。人違いかと思いました」

彼女はかつて九条遥のスマホで二ノ宮涼介の写真を見たことがあった。

二ノ宮涼介は何も言わなかった。

豊山晴子は更に尋ねた。「ここに来られたのは、ご家族のお見舞いです...

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