第100章 知恵のある軍隊アリ

水原琉衣は純粋で心優しいが、馬鹿ではない。俺が嘘をついていることくらい、どうして分からないだろうか。

彼女は沼の縁に膝をつき、俺を引っ張り上げようと手を伸ばすが、あと一歩のところで届かない。

その時、軍隊アリは俺たちのいる場所から百メートルもない距離に迫っており、俺の腰は半分ほど沼に沈んでいた。

切羽詰まった瞬間、俺の脳裏に閃きが走った。

「琉衣! 早く、バッグからテントを出してくれ、急げ!」

俺は急き立てるように言い、同時に自分の頭を殴りつけてやりたくなった。木の枝がなくても、テントの長さがあれば十分届くはずだ。

俺が何かを掴んで力を入れることさえできれば、水原琉衣の力で完全に俺...

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