第108章 計算

洞窟の入り口。

水原琉衣は顔を真っ赤にして怒っていた。

彼女の前では、木川武が斧を手に、悪意に満ちた笑みを浮かべている。

その坊主頭も相まって、格別にいやらしい雰囲気を醸し出していた。

「あ?」

俺の声を聞き、木川武は茫然と振り返る。そして驚きのあまり手が震え、持っていた斧を落としそうになった。

水原琉衣が嬉しそうに声を上げた。「西村晴馬、出てきたのね?」

俺は一言応え、前に進み出る。

俺が一歩進むごとに、木川武は一歩後ずさる。

ついに、彼は足元の何かに躓き、尻餅をついた。

木川武の俺に対する畏怖は、骨の髄からのものだ。

だが彼はその恐怖をひどく嫌悪しており、だからこそ俺...

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