第110章 黒い怪物

我々の現在地は、地下だ。

そしてあの洞窟は、実のところ一本の通路に過ぎない。地下と地上とを結ぶ通路だ。

通常、このような場所はカルスト地形でしか見られない。

だが、この無人島がカルスト地形であるはずがないことは、俺にも分かっていた。

地面に転がる砕石も、石灰岩ではない。

このような俺の認識を覆す出来事が再び起きても、不思議には思わなかった。

異常なことがあまりに多すぎると、もはや驚きもしなくなるものだ。

血痕を辿って先へ進むにつれ、俺の心は焦燥感に駆られていった。

血痕がどんどん増えていき、中にはすでに凝固しているものまであったからだ。

「古川陽、絶対に持ちこたえてくれ、待っ...

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