第15章 命からがら逃げる

私の叫び声に、鈴木美矢たちの避難所へ向かおうとしていた熊は足を止め、私の方へ頭を向けた。私たちの視線が交わる。

その熊の巨大な体躯から一瞬にして強烈な圧迫感が押し寄せてきた。気のせいかもしれないが、呼吸さえ困難に感じた。

熊に睨まれているのを見て、今は痛みも暗闇も気にしている場合ではない。すぐさま洞窟の外へ向かって走り出した。

私が一目散に逃げ出すのを見た熊は、瞬く間に野生の本能が呼び覚まされたようだ。立ち上がると、その身長はおよそ二階建ての家ほどもある。

低く掠れた唸り声を上げ、威厳と威嚇の力を帯びていた。

すぐに熊は四つ足で地面に降り、私を追いかけてきた。

この熊は一見鈍重そ...

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