第28章 今後は君だけが頼りだ

それは水原琉衣の声だった。

彼女の周りでは、野犬の声が非常に鮮明で複雑に絡み合っていた。

考える間もなく、私はすぐに木から飛び降り、急いでその方向へ走った。

飛び出した時、水原琉衣が数匹の野犬に囲まれ、非常に危険な状況に陥っているのが見えた。すでに体のいくつかの箇所が噛まれて傷ついていた。

「西村晴馬!」

水原琉衣は私を見るなり、焦りと絶望に満ちた瞳に一気に涙を溜めた。

「消えろ」

私は大声で叫びながら突進した。

野犬たちは少しも私を恐れず、水原琉衣と同じように弱いと思ったのか、私に向かって飛びかかってきた。

単純な知能しか持たないこれらの生き物は、二つの不思議な果実を食べ...

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