第43章 無言の告白

古澤礼子が僕のことを好きだ。

突然、そんな考えが頭に浮かんだ。

大学時代、クラスメイトの一人が古澤礼子は僕のことが好きだと言っていたし、鈴木美矢も時々、古澤礼子が僕に優しすぎることに怒ったり、嫉妬したりしていた。

でも僕はそれを気にも留めず、本気にもしなかった。

だって、その頃には既に鈴木美矢がいたし、古澤礼子は男子の間で評判の気品ある美人だった。そんな彼女が僕のことを好きになるなんてあり得ないと思っていた。

けれど今、あの言葉を言い終えた古澤礼子のドキドキしている可愛らしい様子を見ていると、直感が告げている。これは本当なんだと。

彼女は、本当に僕のことが好きなんだ。

「傷口が...

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