第56章 消えた古澤礼子

原生林に来てから、数々の危険を切り抜けてきた。

毎回何とか生き延びてきたが、今回のように不思議な形で危険を排除できたのは初めてだ。

先ほどの出来事を思い返す。

私の血液は、どうやら長嘴怪に対して強い引力を持っているようだ。

そして長嘴怪は私の血を摂取した後、酔っ払いのように倒れ込んだ。

きっと私の血液に何か異変が起きているのだろう。

「でも本当にそうなら、長嘴怪は俺の背中を引っ掻いたんだから、爪にも俺の血が付いているはずだが?」

疑問に思いながら、しゃがみ込んでナイフで長嘴怪の死骸をかき分けてみる。

確かに爪には私の血が付いていたが、その血は紫色に変色していた。

「もしかし...

ログインして続きを読む