第6章 野犬と一人で戦う

野犬が私に向かって走ってくるのを見て、私は素早く手に持った松明を振り回し、大声で叫びながら追い払おうとした。

襲いかかってきた野犬は松明に焼かれ、私の威嚇に一旦攻撃を止めたものの、去る気配はなく、じっと私を見つめていた。隙を見つけて致命的な一撃を与えようとしているようだった。

しかし、野犬の習性を知っている私がそんな隙を見せるはずもなく、このまま時間を費やすわけにもいかなかった。

私は足で地面を蹴り続け、大声で吠えかけた。

火を恐れる隙に、ポケットからスイスアーミーナイフを取り出し、ゆっくりと近づいた。野犬が飛びかかってきたら、腹を何度か刺すつもりだった。

すぐに、松明と私の大声の...

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