第76章 佐藤衛の正体

その光景はあまりにも衝撃的だった。

一頭一頭が二メートルを超える、茶色い長毛のゴリラ。

その数百頭が猛スピードで駆けてくるのだから、地震のような揺れが起きるのも無理はない。

「西村晴馬、これは一体どういうことなの!」

水原琉衣が洞窟の天井から落ちてくる土埃を払いながら尋ねてきた。

俺は首を振り、何が起きているのか皆目見当もつかないと示す。

てっきり何かに追われているのかと思ったが、すぐに考え直した。百頭以上のゴリラを追い立てる存在がいるとすれば、それはどれほど恐ろしいものなのだろうか?

突然、ゴリラたちがさらに近づいてきたとき、俺は気づいた。ゴリラたちの百メートルほど前方に、一人...

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