第96章 海岸に到着

砂浜に危険はない。

それは俺と古川陽が確認済みだ。

幾多の困難を乗り越え、常に気を張り詰めていた人々は、ついに目的地にたどり着いたこの瞬間、抑えつけていた感情が洪水のように決壊した。

ある者たちは地面に膝をつき、両手でそっと砂をすくい上げ、静かに涙を流した。

ある者たちは砂浜に寝転がり、ごろごろと転げ回った。

中には、潮打ち際に駆け寄り、互いにはしゃぎ合う者までいた。

そんな中、水原琉衣は俺の肩にそっと頭を預け、沈みゆく夕陽の残光を浴びながら、浅く微笑んでいた。

古川陽でさえも、満面の笑みを浮かべていた。

存分に感情を発散させた後、皆は申し合わせたかのように作業に取り掛かり始め...

ログインして続きを読む