第99章 蟻の潮

シェルターを出て北へと向かうと、そこは変わらず原生林が広がっていた。

しかし、ここの森はさらに鬱蒼としており、地面はよりぬかるんで湿っている。至る所に毒蛇や毒虫の姿も見られた。

俺はまだいい。並の毒虫や毒蛇では、俺の皮膚を食い破ることなど到底できないからだ。

だが、水原琉衣にとっては辛い道のりだった。最初のうちは警戒しておらず、もう少しで噛まれるところだった。

その後、水原琉衣はもはや服で全身を隙間なく覆い、目だけを覗かせるようになった。

しかし、天気は蒸し暑く、一日歩き通した頃には、彼女の全身は汗でびっしょりになっていた。

「気持ち悪い……」

テントの中で、水原琉衣はTシャツで...

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