第11章

瀬川葵視点

顔を上げると、黒木悠奏が立ち上がって私の名を大声で叫んでいた。続いて黒木侑李、そしてお母さん。すぐに、西坪私立高校の応援席全体が声を揃えてチャントを始めた。

「瀬川葵!西坪私立高校の誇りだ!」

その瞬間、すべての雑音が消えた。私に届くのはこの応援の声と、黒木悠奏の瞳に宿る決意と信頼だけだった。

みんなが私を信じてくれている。その期待を裏切るわけにはいかない。

首にかけたネックレスに触れる。その温かい重みを感じた。

本当の瀬川葵を、みんなに見せてやる時が来た。

第三クォーター、私はまるで別人だった。

最初のポゼッションで、私はアーチのはるか外から、難...

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