第6章

黒木悠奏視点

深夜、街は突然の嵐に見舞われた。

俺はリビングの床から天井まである窓のそばに立ち、夜空を引き裂く稲光を眺めながら、複雑な心境でいた。父さんと怜美さんは緊急の商談でY市へ急行し、この屋敷には俺と瀬川葵の二人きりが残されたのだ。

数日前の慈善パーティーは、多くのことに対する見方を変えるきっかけになった。森田絃葉や、いわゆるエリートたちが瀬川葵を屈辱しているのを見たとき、自分でも驚くほどの怒りがこみ上げてきた。

いつから俺は、彼女の気持ちをこんなにも気にかけるようになったのだろうか。

雷鳴が轟き、雨が激しく窓を叩く。十時ごろ、屋敷全体が突然、闇に沈んだ。

停...

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