177: 思い出せない

ケリー・アン視点:

今、私がしようとしていることは、これまでで一番つらいことだった。シェーンの、あの自制心の欠片もない性格のせいで、私が耐えるしかなかった経験について、ジャスパーに打ち明けること。彼は私をあれほどの苦痛と地獄に突き落とした。よくまあ、生き延びられたものだと思う。まったく、こんな経験は誰だってすべきじゃない。でも、そんなこと言っても仕方ないか。声が震えるのをこらえながら話すのは、ひどく困難だった。

ジャスパーには知っておいてもらう必要があった。誰も見ていないところで、シェーンがどんな男になるのかを。そのためなら、今回のような、私が無理やり向き合わされた様々な経験の実例を彼に提...

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