第9章

白城の夜明けは早い。

私は小さな庭に立ち、東の空が白んでいくのを眺めながら、北国特有の清冽な空気に身を浸していた。

私が借りたこの古い家は町の外れにあり、かなり年季が入っている。木の床は歩くたびに微かにきしむし、壁の隅の塗装も少しめくれ上がっていた。

だが、広すぎず狭すぎもしない庭があり、何本もの果樹が植えられているのが取り柄だった。

毎朝、陽の光が木の葉を透かして地面に降り注ぎ、まだらな光の影がまるで無音の舞踏のようだった。

白城に引っ越してきて、もう二ヶ月になる。

この二ヶ月で、私は市場へ野菜を買いに行き、地元の人と値切り交渉をすることを覚えた。自分で料理をする...

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