第49章

月野里奈は淡々とその小切手を手に取り、目を通した。「二千万円か、随分な大金ですね」

「当然だろう」

上田おばあさんは鼻で笑った。「見るに見かねて言ってやるが、いい話には乗っておきな。後で後悔するぞ!」

「そうですね」

月野里奈は手際よく小切手をバッグにしまい込んだ。「ただ」

「おばあさまの首にかけているそのニセモノのネックレス、二千万円の価値はないでしょうね?」

彼女が口にした「ニセモノのネックレス」という言葉に、上田おばあさんは一瞬固まり、それから冷笑を浮かべた。「妖狐め、よくも考えたな」

「私がこのネックレスは孫嫁からもらったものだと言ったから、わざとニセモノだなどと言い出...

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