第7章

彩香視点

午後の陽射しが事務所の窓から差し込んでいる。私は隆司の隣に座っている。肩が触れ合いそうなほどの距離だ。机の上には経過報告書が散らばっている。私のノートパソコンの画面には、受講している児童心理学の講座が表示されている。

「今月は健が不安になる回数が減ってる」隆司がグラフを指さした。「君がいい日課を作ってくれたからだ」

「私たちで、作ったの」

彼は私の方を向く。あの灰青色の瞳が、真剣な光を宿して。

「ああ。そうだな」

報告書の上で、彼と私の指が触れ合う。その感触が残る。温もりが腕を伝って広がっていく。彼の口角が、あの笑顔の形に持ち上がる。子どもたちと私の前でし...

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