第165章

伏黒獅堂はスマートフォンの画面に映るメッセージを眺め、ふと動きを止めた。

「誕生日」。

その単語は、彼にとってあまりにも縁遠い響きだった。

最後にそれを祝ったのがいつだったか、もはや記憶の彼方ですら定かではない。

グループチャットには、バンドメンバーたちからのメッセージが次々とポップアップする。どれも熱量が高く、積極的だ。

伏黒獅堂は目を細めた。

……悪くない。この機に乗じて、葉原遥子という人間に、そしてその取り巻きたちに深く接触を図るのも一興か。

彼はその長く美しい指を滑らせ、一文を打ち込んだ。

『いいですね。では、その件はリーダーである僕に任せてもらえませんか』

藍沢希...

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