第166章

「はあ?」

松本彩は片眉を跳ね上げると、ダンッ!とテーブルを叩いた。衝撃で短刀がチャキリと半寸ほど鞘から飛び出す。彼女は凄みを利かせた声で言い放った。

「『知らない』の一言でアタシらを追い払えると思ってんのかい? あぁ?」

「い、一週間前から行方が分からなくて……下水処理場で血痕と服の切れ端が見つかっただけで……」

獄卒は恐怖に後ずさりし、しどろもどろに言葉を紡ぐ。

「彼女と一緒に『ヴィー』という女も消えました。二人は同じ監房だったんです」

そこで言葉を切り、獄卒は視線を泳がせた。目の前の四人と視線を合わせる勇気がないのだ。

「ほ、本当にそれしか知らないんです!」

平沢逸は腕...

ログインして続きを読む