第194章

高橋空の言葉を聞いて、葉原遥子の胸はちくりと痛んだ。

彼は自分のことを滅多に語らない。だが、その幼少期や組織で過ごした日々が、決して幸福なものでなかったことは痛いほど分かっていた。

彼女は唇を軽く引き結ぶと、自ら高橋空の手を握りしめ、浅い笑みを浮かべた。

「あなたが気に入ったなら、これからはもっとたくさんデートしましょう」

高橋空は彼女を見つめ、その瞳にわずかな優しさを宿す。

「連れて行きたい場所がある」

二十分後、二人の姿は水族館にあった。

この時間帯、館内の人影は疎らだ。

幾重ものガラスを透かした幽玄な青い光が、床に揺らめく波紋を落としている。

言葉はなく、ただ並んで回...

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