第207章

「……この、悪魔……!」

 赤の声は掠れ、ギリギリと噛み締めた歯の隙間から絞り出された。

 セピアは彼女の体内に、とっくに生体反応感知チップを埋め込んでいた。自傷行為の兆候を検知した瞬間、チップは鎮静剤を放出する。彼女の自由を、徹底的に奪うために。

「お褒めの言葉、どうも」

 端末から響くセピアの笑い声は軽やかで、それゆえにこそ毛骨がよだつほど不気味だった。

「言ったでしょう? 私は貴女のことが大好きなの。だから余計なことをせず、組織で大人しくしていなさい」

 赤は下唇を血が滲むほど強く噛み締め、沈黙した。セピアの耳に届くのは、怒りを必死に押し殺した彼女の呼吸音だけだ。

 王蛇...

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