第214章

栗山弥音は額に手を当て、軽く身じろぎすると、布団を跳ねのけてベッドの端に腰を下ろした。

こめかみがずきずきと痛む。まるで金槌で頭を殴りつけられたかのようだ。周囲を見渡せば、純白の壁に、簡素な家具。天色のカーテンが、外の皎潔な月光を微かに遮っている。

「助かった、のか……?」

掠れた声は、自分のものではないように響く。

「早く、葉原遥子たちに連絡を入れないと……」

そう考えながら、彼女は直近の出来事を反芻した。記憶の断片が脳裏をよぎる。狂島、東雲の母の血文字、追っ手、そして偶然停泊していたあの貨物船……。

死に物狂いで船に這い上がり、そこで意識が途絶えたことまでは覚えている。

栗...

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