第70章

空が次第に暮れていき、葉原遥子はデスクの上を片付け、帰宅の準備を始めた。

ソファに座って会社のパンフレットを読んでいるふりをしていた朝倉蓮は、彼女の動きに気づくと、慌てて駆け寄ってきた。「遥子、もう帰るのか?」

葉原遥子は頷き、無造作にスマホを取り出して高橋空にメッセージを数件送り、位置情報の共有をオンにした。

「じゃあ、急いで行こう!」朝倉仁一の声は、ひどく興奮しているようだった。

すぐに彼らは車に乗り込んだ。

運転手は朝倉仁一の秘書で、朝倉蓮が助手席に、そして葉原遥子と、下卑た笑みを浮かべた朝倉仁一が後部座席に座った。

道中、朝倉仁一はずっと葉原遥子にどうでもいい...

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