第71章

「いっ……」

高橋空は痛みに眉をひそめたが、すぐに葉原遥子を突き放すことはしなかった。彼は優しく葉原遥子の背中を撫でながら、低い声で囁く。

「いい子だ」

二人の体は今、ぴったりと密着していた。高橋空は葉原遥子から漂う、穏やかな柑橘系の香りを嗅ぎ取ることができる。彼は目を細め、悪戯っぽく葉原遥子の真っ赤になった耳にそっと噛みついた。

「君に噛まれた分、お返しだよ」

高橋空は軽く笑い、情欲を抑えた声が葉原遥子の耳元で響いた。

彼はごく軽く噛みついただけで、吐き出す息が葉原遥子の敏感な肌にかかると、彼女の体はびくりと震えた。

「んぅっ!」

葉原遥子は呆然と瞬きをし、口から...

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