第16章 目利きではない

 

新谷若夜は足を止め、声の主へと振り返った。

池田夫人が池田花依の腕を引き、早足で近づいてくる。顔には笑みを貼りつけているが、その笑みの奥には言葉にしがたい何かが混じっていた。

値踏み。探り。そして、隠しきれない優越。

若夜はかすかに眉を上げ、池田暁月へ目をやった。

暁月は表情ひとつ動かさない。淡々とした口調で、若夜に紹介する。

「こちらが池田夫人。……私の、養母です」

その一言で、若夜は目の前の女が誰なのかを理解した。背後の少女も、おそらく池田家が探し出した「本当の娘」なのだろう。

思わず、きちんと礼を言わなければと思った。自分の娘を、これまで育ててくれた相手なのだから。

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