第19章 芝居をする

 

廊下で、池田奥さんと池田花依はその場に立ち尽くし、池田暁月と新谷若夜が助手に案内されて病棟エリアへ入っていく背中を見送っていた。

池田奥さんが、すっと目を細める。

——あの方向……違う。

来る前に、下調べはしてある。

新井爺様の病室は入院棟七階、特別病室フロア。そこまでは確実だ。

部屋番号まで人づてに聞き出していた。708号室。廊下の突き当たり、南向きの一室。

なのに、池田暁月たちが向かったのは、廊下の反対側だった。

池田奥さんの胸がひやりと沈む。だが次の瞬間には、表情を崩さず持ち直していた。

池田花依の腕を取り、何気ないふりでそちらをちらりと一瞥する。そして、口角がゆっ...

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