第22章 宮本家へ行く

その動きはあまりに軽く、触れたのかどうかさえ曖昧なくらいだった。探るようで、ためらうようで、それでも恐る恐る距離を詰めてくる――そんな近づき方。

新谷若夜には、それが分かった。

堪えていた涙が、ついに頬をつたって落ちる。

けれど彼女はすぐに指で拭った。娘に見せたくなかった。

「ママ」

池田暁月が口を開く。声はひどく小さい。

「私は平気」

あまりにも淡々としていた。

だからこそ若夜は知ってしまう。その一言の奥に、自分が知らないことがどれほど隠れているのかを。

若夜はうなずき、それ以上は何も言わなかった。

車はそのまま前へ進む。

新井爺様が退院した日は、やけに空が澄んでいた...

ログインして続きを読む