第45章 屈辱

「爺さんが会いたがってる。飯でも食いに来いってさ。……付き合う?」

池田暁月はすぐには返事をしなかった。

新井飛鳥を見上げ、口元だけ、ほんの少し弧を描く。

「お爺様なら今日の午後、私に電話してきたばかりだけど。今週の検査は終わったから、もう来なくていいって」

小首をかしげ、薄く笑う。

「新井飛鳥。本当に会いたいのはお爺様? それとも――あなた?」

新井飛鳥の表情はぴくりとも動かない。

けれど、夕闇の中で耳の先だけが、わずかに熱を帯びたように見えた。

二秒ほどの沈黙。

それから、顔色ひとつ変えずに言う。

「午後、気が変わった」

池田暁月は一瞥だけ返し、あえて突っ込まなかっ...

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